千葉市中央区市場町1番1号

    千葉県県土整備部 道路計画課 御中

                     平成17年1月15日
                     千葉県自然観察指導員協議会
                               代表 市川清忠
                     事務局所在地 千葉市若葉区桜木町2-122
                                  石嶋基次 方

一般国道464号北千葉道路に係る環境影響評価準備書に対する意見書
1. 北千葉道路施工地域周辺の環境について
 環境影響評価準備書に記述されているように、一般国道464号北千葉道路(印旛〜成田)が施工される地域は、鳥類に限ってみても、千葉県レッドデータブックの最重要保護鳥類および重要保護鳥類が次のように多数生息している。
最重要保護鳥類(A)
:サンカノゴイ、ヨシゴイ、ウズラ、クイナ、ヒクイナ、タマシギ、ケリ、アマツバメ、オオジシギ、オオセッカ、コジュリンなど
重要保護鳥類(B)
:チュウサギ、トモエガモ、ヨシガモ、ミサゴ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、サシバ、チュウヒ、ハヤブサ、イソシギ、セイタカシギ、コアジサシ、コミミズク、アオバズク、フクロウ、キビタキ、オオルリなど
 さらにこれらの野鳥は全国的にみても、以下のように環境省のレッドデータブックに絶滅危惧種として登録されている。
絶滅危惧檻類(EN)サンカノゴイ、オオセッカ、セイタカシギ、
絶滅危惧類(VU)クジュリン、トモエガモ、オオタカ、チュウヒ、ハヤブサ、コアジサシ
準絶滅危惧(NT)オオジシギ、チュウサギ、ミサゴ、ハイタカ
このように千葉県内のみならず全国規模でみても保護鳥類が生息している地域である。
 なかでもサンカノゴイは全国的に個体数の少ないサギで、当該地域で毎年繁殖しており、日本全国でも唯一の継続繁殖地といわれている所である。計画路線はこのサンカノゴイの繁殖地を分断するように計画されているため事業の影響が懸念される。    

2. 成田新高速鉄道線との関連
一般国道464号北千葉道路(印旛〜成田)の事業は独立案件として環境影響評価準備書が作成されているが、国道だけを施工するなら、上記のような環境のすばらしいところを通す必然性はまったくない。いくらでも迂回路が考えられる。実質的には成田新高速鉄道線事業と一体でルートを計画し、殆どの部分で鉄道は道路と並列して敷設されている。実質的には成田新高速鉄道線事業と一体であり、殆どの部分で並列して敷設される計画である。したがって成田新高速鉄道線事業に伴う側道道路として、両事業を一体とみなして意見書を提出する。
3. 環境保全措置について
 準備書によれば、一部のサンカノゴイの生息環境に影響が予測されると明記され、措置としてコンクリート製高欄を設置することで、影響を低減させると記されている。また生息地の分断に関しては、ボックスカルバートの設置等により、生息環境の保全を図れるということで、「千葉県環境基本計画」の施策に整合しているので、分断してもかまわないと評価されている。
 オオタカやサシバなどの猛禽類については、狩場の消失による影響が予測されるが、改変された狩場環境に適応できるように土地改変を徐々に行うと記されている。
 湿地性希少鳥類に対しては、生息場所としてヨシ原を造成することにより新たな生息場所を創出すると記されている。
 以上のような環境保全措置により、環境影響を回避または低減できると判断して本計画は遂行できると結論づけている。
 しかしながら、これらの措置で回避または低減できると判断される科学的根拠は何も示されておらず、まったく説得力がなく、これらの措置が有効であるとは容認しがたい。環境を大きく破壊して取り返しのつかないことになるリスクの方が大きいと思われる。

4. 事後調査について
 鉄道および国道供用後2年間調査を行い、サンカノゴイに対するコンクリート製高欄設置の効果の確認、猛禽類に対する土地改変の効果の確認、湿地性希少種に対するヨシ原設置効果の確認などを行うと記されている。しかし、これらの鳥類に対する影響の程度を、どのような点から評価されるのか、判定基準が明示されていない。またこれらの措置の効果が不十分だということになったとき、どうするのか何も書かれていない。既に手遅れであることは明白である。着工前に効果をテスト確認されない限り、リスクが大きすぎて、有効な措置とはいえない。

5.計画の見直し
 成田新高速鉄道線事業の目的は都心と成田空港までの交通の便を現在より時間短縮するというものである。現在はJR東日本と京成電鉄が約50分台で走行している。計画によれば、新高速鉄道では30数分で走るといわれている。この10数分の短縮が大きな環境破壊のリスクを犯し、多大な経済投資をしてまでやるような重要な事業なのかまったく理解できない。また今後、若者の人口の減少化を考慮すると、現行路線と競合して、計画高速鉄道は赤字路線になることも十分に予想される。よって、まず鉄道敷設に対する経済投資効果を鉄道会社とともに再度十分に見直してほしい。それでも鉄道の投資効果が期待されるときは、成田新高速鉄道および国道を環境影響がもっと少ないルート(サンカノゴイの生息地を分断しないルート)を通すよ
う再検討してほしい。
                                       以上