研修会「房総丘陵の自然を観る」〜梅が瀬渓谷〜
開 催 
平成19年6月24日(日)曇り後小雨
場 所 
市原市梅が瀬渓谷
講 師 
千葉県中央博物館 上席研究員 大木淳一氏
担当指導員 
石嶋基次 盛一昭代
参加者 
指導員20名  一般2名  合計22名
報告 小川洋子(八千代市)
 幻のタゴガエルに会えた!!
―07年度フィールドミュージアム研修会に参加して―
6月24日、梅が瀬渓谷で「房総丘陵の自然を観る」というテーマの研修会が開かれた。講師は、千葉県立中央博物館上席研究員の大木淳一先生。地質学がご専門だったのが、タゴガエルに出会って、今はカエルの専門家としても多数の著書を執筆されている。というわけで、房総の自然を観察しながら、崖に生息するという幻のタゴガエルに会いたいと研修会に参加した。  
 養老渓谷駅から梅が瀬渓谷へ向かう途中の池のそばでは、モリアオガエルの産卵に遭遇した。崖に寄りかかるように立つ枯れ木の上で、オスとメスがしっかりと支えあって産卵を続けていた。枯れ木の足元の池の中では、マムシがカエルを狙っているのか、泳ぎ回っていた。帰路、もう一度見たが、まだ産卵を続けていた。マムシは根負けしたのか、姿と消していた。命を受け継いでいくための、この努力に感動した。

(写真撮影 山下美佐子)
 お目当てのタゴガエルは、梅が瀬渓谷の崖にあいた小さな穴が住家とか。先生が『タゴガエルマンション』と命名した崖に着いた。参加者一同、一生懸命崖の小さな穴を一つ一つペンライトで照らしながらお目当てのタゴガエルを探した。最初に見つかったのは1センチにも満たない小さなタゴカエル。「今年生まれたカエルでしょう」と先生。その後は中くらいのから、大人のカエルまで見つかった。産卵するようになるには3〜4年かかるそうだ。寿命は不明とか。泥岩と砂岩が交互に層をなしている、約80万年前に出来たというこの地層に地下水があけた穴を利用し、ひっそりと生きてきたタゴ        
ガエル、その知恵に感心してしまった。これらのカエルがたくさん生息できるのは、この渓谷の水がきれいで自然が豊かだから。この環境がいつまでも失われませんように。タゴガエルのほかにも、ヤマアカガエル、カジカガエル、ツチガエルなどなど、たくさんのカエルたちに出会えた楽しく充実した観察会だった。
梅が瀬渓谷はハイキングで何度か通った道だが、そこにこんなにたくさんの種類のカエルたちが生きていたとは・・・。「観よう」という気持ちで観なければ、なにも観えないことを痛感した。