第5回千葉県自然観察指導員フォローアップ研修会
開催日時: 平成17年11月26日(土) 12時〜27日(日)15時
開催場所: 市川市少年自然の家・大町自然公園
参加者: 26日43名、27日41名     
特別講師: 金子謙一氏(市川自然博物館学芸員)、岩瀬 徹氏(元当協議会代表)
報告者: 三嶋秀恒
 北総鉄道の大町駅から5分程度で大町自然観察園の北端に着き、ここから自然観察園が南に広がっています。長田谷津と呼ばれており、昭和40年代まで水田でした。下総台地の自然景観を残しており、南北に細長く伸びる谷津地形で緑と湧水に恵まれ、斜面の上は両側とも台地畑(梨畑が多い)からのしぼり水が谷津の中央を流れて大柏川へと続いています。ここで観察された植物は400種、昆虫類が380種、鳥類100種で、多様な生物種がみられる貴重な自然です。
 26日の金子講師による観察実習は、「長田谷津をとりまく環境について」のテーマで、自然観察園を歩きながらの講義でした。もみじ山は紅葉の季節だけ一般開放され、見事な色彩を織りなしており、手入れの行き届いた里山整備が行われていました。三角池脇の杉林ではオオタカにやられたカケスの羽が散乱しており、スズメバチの特大の巣が見つかりました。湿地帯に入り、エコアップ(多くの生き物が棲むための環境を整えてゆく活動)について、翌日はボランティアの方々がヨシの草刈り作業などを行うとの説明を聞きました。石道の下には小川が流れ、湿地帯にハンノキ林が続いており、谷津の両側に続く斜面林は雑木林から照葉樹林へと遷移が進んでいるとのこと。北側の湧水源では水量が少なくなっているので、井戸水を汲み上げて水源の一つにしているとのこと。バラ園脇の水路ではオニヤンマのヤゴを探し、水質が保たれていることを確認できました。

<地域活動報告>
1)瓦井講師による「自然観察とトンボ教室」
 行徳トンボ研究室の活動について、小学生を対象にトンボ育成や観察会を行い、トンボの文化に親しむ大切さを語ってもらいました。
2)古川講師による「調整池を巡る道 〜わらび小のわらべたち〜」
四街道自然同好会による小学校自然観察支援の事例紹介で、
 @子どもたちの発見を大切にする、
 A一緒に感動する、
 B五感を使って観察する、
 Cふりかえりと共有が大事です。
3)石嶋講師による「坂月川での協働活動〜ヘイケボタルの輝き願い」
 坂月川愛好会を結成し、市民ボランティアと行政が活動協定書を締結し、協働活動によって河川の改善やヘイケボタルの復活を実現したすばらしい事例紹介に感心しました。
<自然観察実習> 27日午前中
1)太田講師による「草木の虫たちの冬支度」
 冬の寒さと乾燥に耐え抜くために草木や虫たちはどんな冬支度と対応をしているのか?
ハンノキにミドリシジミ卵が越冬、ヤナギにコムラサキ幼虫が越冬、エノキにゴマダラチョウ幼虫が越冬することなどを知りました。
2)田口講師による「命の水、水の命〜湧水」
 水の大切さ、湧水の仕組みや湧水と地下水の水質比較などの説明を聞きました。
3)和仁講師による「晩秋の野鳥観察」
 季節による野鳥の分類や生息環境に対応して見られる野鳥の説明。鳴声は、さえずり・地鳴き・ぐぜり・ドラミングの分け方を知り、鳴声で10種類程度の野鳥を確認できました。
<特別講演>
  岩瀬氏による「自然観察のための“花と実の話”」
花のつくりや受粉と受精はきれいな写真をふんだんに使用しての講義でした。
食べているのはどの部分か? 興味がわきました。
(カキは中果皮、シラマメやクリは子葉、ナシは花床の肥大化した部分、イチゴも花床)
島村さんのギターに合せて皆さんと「赤とんぼ」を歌ったり、夜の懇親会では一杯飲みながら情報交換ができて有意義な研修会でした。